先日伝えたとおり,第3回 津山高専吹奏楽部歌唱部合同定期演奏会の模様をUSTREAMで生放送しました。
去年は僕一人で配信を全部やっていましたが,今年は非常に頼もしい後輩たちがサポートについてくれたおかげもあり,スムーズに行うことが出来ました。配信の方法についてある程度は教えたつもりですが,それでも僕しか触ってないところが結構あります。しかも僕はもう5年生で卒業が間近に迫っています。というわけでこの記事では配信した際の環境及び設定などについて後輩たちが自力で配信できるぐらいに説明したいと思います。
配信に使用した機材
まずは機材の紹介です。
Roland VR-5
今年から導入したビデオミキサーです。これ一つでビデオ・オーディオのミキシングやテロップの挿入,キャプチャー(ミキシングした映像をPCへ出力)などが行えます。
昨年はカメラ1台・ミキサー無しだったのでロングショットのみで配信していましたが,今年からVR-5を導入したことにより複数台のカメラによるミキシング配信が行えるようになりました。
ただし入力はRCAケーブル(赤白黄)なのでHDカメラで撮影した映像も,ミキサーに入れるためにSD画質にしなければいけません。まあHDで配信したところでインターネットに送信する速度が足りない(後述:当日はWiMAX回線を利用)のでこれで十分だと思います。
Panasonic AG-HMC45
メインカメラとしてロングショットを撮影するために会場中央最後方に設置したカメラです。業務用なので非常に画質がいい。
なおシス研OBの方が置いてくれている個人所有物です。
SONY HDR-CX430V
司会者の撮影を目的とした会場右後方に設置したカメラです。こいつに搭載されている空間光学手ぶれ補正というやつがすごいおかげでカメラを動かしてもスタビライザーのようにスムーズになります。なので割りと動く司会者撮影のカメラに利用しました。
このカメラの映像をRCA出力するケーブルが独自規格のため別途買う必要があったのですが,ネットショップではなかなか見つかりませんでした。ですが,先日ふらっと立ち寄った家電量販店にて発見。即購入しました。2,000圓也。
なおこれは僕の私物です。
AZDEN SGM-100
配信の音声用マイクです。これでとった音声は直接VR-5へ入力しました。
これ以外から音はとっていません。取り回しが面倒なのとこのマイクで十分な音が取れるからです。
なお会場に常設されているマイクから音をもらうには追加料金が必要らしいです。PAの人に「(会場備え付けの)マイクから音とりますか?」と言われたのでもらおうとしたら,「追加料金がかかる」という話になったのでやめました。(そこまで高くはないようですが,請求が吹奏楽部に行くと面倒なことになりそうという理由もあります)
TASCAM DR-100MKII
録音用のICレコーダです。これは後に配布する演奏会をまとめたブルーレイ用の音の録音に使いました。なのでこれで収録した音を配信などには使っていません。
使ったのはいいもののマイクゲインの設定をミスって音量が低い状態のものが録れました。あとの編集で大変苦労しました。
取り回し
上に挙げた機器のそれぞれの配置は以上の通りです。
上の図は配信前の予定図だったので実際の環境とは一部異なりますが(マイク入力は赤白ではなくXLRだったり 確認用PCがなかったり),大体同じです。
配信回線には顧問の寺元先生のWiMAXルータを利用しました。速くて使いまくっても帯域規制がないのがいいです。
あと配信とは別にそれぞれのカメラで録画しておきます。これは後で吹奏楽部・歌唱部の皆さんに配布するBlu-ray・DVD用です。
映像・音声をPCへの取り込む
VR-5上でミキシングした映像・音声を配信用のコンピュータで取り込みます。VR-5から取り込まれる映像解像度は720×480のNTSCスタンダード(480i)です。この映像をそのまま使うと4:3にならず少し横に縮んでしまいます。まぁいわゆるピクセルアスペクト比ってやつの影響なんですが,説明は面倒なので割愛(Wikipediaを見てください)。
じゃあどうやって4:3に修正するのかって言うとアマレコTVを利用します。サイトには「コーデックが有料」といたるところに書いてますが無料でも使えます。お金を払わないとキャプチャした映像を保存するときにロゴが入るだけです。特に今回はキャプチャした映像をそのままローカルに保存したりすることはないので影響を受けません。アマレコTV本体とコーデックをダウンロードしてインストールしましょう。
VR-5の入力を一度アマレコTVに通すことで,きれいな640×480(4:3)の映像が取得できます。16:9のカメラを使ってもVR-5側で上下に黒帯が追加されたものになります。この映像を16:9にクロッピングしたい場合アマレコTVではなくエンコード時(後述)に行います。
エンコード・配信
Ustreamなどではブラウザ上のみで配信を行うことができるのですが,この場合あまり画質や音質は良くなりません。まともなエンコードが行われないからです。そこでAdobe Flash Media Live Encoderを使って一度コンピュータ上でエンコードしたものを配信することで画質・音質を向上させることが出来ます。
今回の配信ではWiMAXルータを利用したので回線速度的にはせいぜい上り600Kbpsぐらいが限界で,高解像度・高音質な配信は行えません。さらに映像に関しては吹奏楽部・歌唱部の方から顔がわからないようにして欲しいとのことだったので,画質をわざと下げて音質に重点を置いた設定にしました。
配信する映像入力には「AmaRec Video Capture」を指定,音声はVR-5から直接でもいいと思います。あとついでにVR-5で4:3だった入力映像の16:9へのクロッピングもここで行います。FMEの配信設定画面下部にあるCropにチェックを入れてTop・Bottom共に60を指定してやるだけです。非常に簡単です。
配信時のビットレート設定などは以下の通り(上の画像と一部異なっていますが上の画像が去年の使い回しだからです)。
[Video] H.264 640×360(16:9) 30fps 300kbps (☑Crop Top:60 Bottom:60)
[Audio] AAC 128kbps 44100Hz Stereo
書き忘れてましたが,配信に必要な設定(FMS URL・Stream)はUSTREAMやYouTube LiveからXMLでダウンロードできるようになっているはずです。配信チャンネルごとに設定が異なるので配信前にきちんと確認しましょう。
最後に
今回の配信で一度配信が止まってしまうトラブルがありました。しかしFME上では特にエラーも表示されず動いていたのでよくわかりません。確認用のPCがあれば早い段階で気づけたのですが,今回は用意してなかったので指摘されるまで気づけませんでした。まぁこういう生配信なんかにはトラブルはつきものなので,トラブルが起きた時に迅速に対処できるように事前の練習や準備を欠かさないことをおすすめしておきます。
吹奏楽部と歌唱部の皆さんはお疲れ様でした。Blu-rayとDVDについてはテスト明けから量産体制に入るつもりなので皆さんのお手元には来週頃届くかと思いますのでよろしくお願いします。
というわけでこの記事は最初に書いたとおり後輩の皆さんがストリーミング配信する際の資料として書いたものです。来年度,僕は専攻科に進むので津山高専に居るんですが,この記事を参考に後輩たちだけで行ってくれればと思います。
ベルフォーレの人「君たちは放送部か何か?」 ぼくたち「あーまぁそんな感じですかね」
シス研は何部なんだろうか
— 津山高専システム研究部 (@sysken) 2014, 2月 17
コメントを残す