(この記事はOBのわりこさんに寄稿していただいたSYSKEN Advent Calendar 2015の6日目の記事です)
シス研OBのわりこです。
この度はイベントに誘っていただきありがとうございます。6日目の今回の内容ですが、機械加工の話をしたいと思います。
情報工学科卒でも機械加工ができます。ドリルで穴をあけたりする話をします。
ここに材料(だいたいはワークと呼ばれる)があるとします。
この材料が例えば鉄であった場合、加工するドリルのスピードはどうやって決めることができるのでしょうか?
1.材質によって加工速度が変わる
これはなんとなく想像できると思います。
硬いものと柔らかいものを同じように加工することはあまりないと思います。
柔らかいものは早く加工でき、硬いものは遅く加工しなければなりません。
あまりに条件を上げすぎると硬いものに工具が負けてしまうので加工できなくなります。
2.工具によって加工速度が変わる
ドリルの形状やドリルの素材によっても加工速度を変更する必要があります。
ドリルなどの工具にも材質があるため、それを考慮します。
ハイスと呼ばれる材質よりも超硬(めっちゃ硬そう)と呼ばれる材質の方が硬いため、早く加工することができます。
また、工具の形状も用途によって違うことがあり適したものを使用することで加工が早くなります。
ここからは計算する話です。
ここを見るとなんか簡単な式がでてきます。簡単な物理なのですぐ理解できると思います。
まあよくわからないですけれど、材質ごとに切削速度というのがあって、これに合わせたらいいんです。
例えば切削速度が50m/minの材料とドリルの組み合わせがあったとすると、ドリルの外径が4ミリだと、円周を計算して割ることで回転数を決めることができます。
そして、メーカーの標準値とかがあるのでそれを見比べたりしながら加工速度を決めることができます。
NCプログラムというのがあって、数値制御でやっている加工機ではGコードというものを使って加工します。
M03 S3960;
(主軸を右回りに分速3960回転させる)
たしかこういう風に指定することで、機械が動いてくれます。
ここまでは主軸の回転の話でした。
3.テーブルの送り速度を決める
さきほどまでで、主軸が回転するスピードを求め、決定することができましたが、もう一つ大切な要素があります。
それは加工する際に、機械が前後・左右・上下に動くスピードを決めることです。
例の画像で言うと、ドリルを材料に突っ込むスピードです。
速すぎるとドリルが折れるし、遅すぎるとうまくドリルが食いつかないので穴が上手に開かなかったりします。
これも工具とワークによって変化させますが、これも標準値があるのであまり考えなくてもいいです。
基本は硬いと遅く、柔らかいと速いです。
G01 Z-20.0 F60.0;
(分速60mmで-Z方向に20mm移動させる)
みたいな感じに指定します。
と、簡単に説明しましたが、なんだ簡単な計算じゃんと思った方が多いと思います。
ドリル加工は単純に加工をすることができるので、初心者にもおすすめです。
エンドミルと呼ばれる工具で溝とか形状を加工する話の方がおもしろいのですが、説明することが多いので今回はしません。
(形状を加工するのが機械加工で一番おもしろいと思います)
あと、他には加工していると熱で変化するとか、工具の消耗による寸法の変化とか、球で平面を加工する話とか、工具のたわみだとか話したいことがありますが、長くなりますのでまた機会があればと思います。
人生は何が役に立つかわかりませんので、やれるうちにいろんなことをやっておくと、わけのわからない内に力になっていることが多くあります。
今回のぼくの例では、嫌々やっていた物理の基本的なことが、仕事をするときの理解に役に立ったというところです。
入学前はプログラムとかやっていきたいと思っていましたが、今は全然関係のないことをしています。
機械加工を仕事でしている間に、機械加工もそこそこ好きになって、趣味で3DCADでてくにゃんの変なモデルを作ったりするようにもなったりしました。
(嫌いなことは趣味でも仕事でも続かないと思います。)
貪欲にやっていくのが大事だと、在学していたときの数学の先生が言っていましたが、興味を持ったらとことん突き詰めるのがいいかもしれません。
初めはわからないことが多くてうまくいかないことが多いですけど、やっていくうちにうまくなるとそれが楽しくなると思います。
個人的な感想ですが高専生は突き詰める変な人が多い感じがします。
若いうちにいろいろなことに挑戦して、いろんな人から知恵をもらうことができるのが学校のいいところだと思います。
情報工学科卒でも、機械加工できるんだということが分かったところで、終わりたいと思います。ありがとうございました。
あと関係ないけど、おもちゃにさえ全然利用されていないてくにゃんを積極的に使用していくシステム研究部がすきです。
次はくださんです。
コメントを残す